2026/10/22 13:06
大きな耳に、すっと突き出た鼻。小さな目と口で描かれた、どこかとぼけた表情。
John Molesworth(ジョン・モールスワース)さんの陶器作品を眺めていると、初めて出会ったはずなのに、以前から知っている誰かのように感じることがあります。静かに佇んでいるだけなのに、何か話しかけてきそう。そんな想像を誘う作品が、今回もYAY!に届きました。
ひとつのスタイルに収まらない、自由な制作
Johnさんは、イギリス出身のイラストレーター、アーティスト、陶芸家。ロンドンでイラストレーションを学び、絵画やドローイング、版画、出版物、陶器など、さまざまな方法で表現を続けてきました。文学やアート、素材そのもの、身のまわりの観察が、創作の手がかりになっています。
その活動の幅広さには、ひとつの表現に自分を限定せず、試し続けたいという姿勢があります。過去のインタビューでも、特定のスタイルに縛られることより、つくる楽しさや遊び、探求を大切にしたいと語っています。
描くことから刷ることへ、紙の上から立体へ。表現方法を行き来することで、新しい発見が次の制作へとつながっていく。Johnさんの作品に感じられる自由さは、そんな制作への向き合い方から生まれているようです。

素材に触れながら、発見していく
Johnさんの制作を知るうえで大切なのが、完成に至るまでの「プロセス」です。素材が変わると、私たちの感覚や気持ちはどのように変わるのか。そうした問いも、制作の背景にあります。
紙の上を走る線と、陶器の曲面に沿って描かれた線。同じようなモチーフでも、素材が変われば、見え方や存在感も変わります。平面では軽やかに感じられる形が、陶器になると重さや厚みを持ち、手で触れられる存在になる。Johnさんの作品には、そんな素材と表現の関係を探る面白さがあります。
また、Johnさんは手でつくることの身体的な感覚を好み、作品の向こうに、間違えたり楽しんだりしながら制作している人がいることを伝えたいと語っています。
少し揺れた線や、不揃いな輪郭。形をつくり、描き、試してきた時間が、作品の表情として残っている。その人の手を感じられるところも、Johnさんの作品に親しみを覚える理由なのかもしれません。
暮らしの中で目が合う、陶器の顔
今回届いた「Colourful Head」は、そんなJohnの表現を身近に楽しめる陶器作品です。
大きな耳に描かれた模様、鼻の立体感、目と口のささやかな線。顔の要素はシンプルなのに、それぞれ違った性格を持っているように見えてきます。
鮮やかな色の組み合わせには、空間を明るくする楽しさが。落ち着いた色合いの作品には、描かれた線や形をじっくり眺める楽しさがあります。輪郭のわずかな違いや描線のかすれ、釉薬の艶など、近くで見るほど気になる部分が増えていきます。
棚にひとつ飾って、余白ごと楽しんだり。デスクでペンや小物を入れたり。小さな植物の鉢を入れて、グリーンとの組み合わせを楽しんだり。置く場所や合わせるものによって、自分だけの景色が生まれます。

花と一緒に楽しむ「Snail Vase」
カタツムリをモチーフにした「Snail Vase」も届きました。
アイボリーの体に、オレンジの殻と黒い渦巻き。ちょこんと伸びた触角まで、思わず眺めたくなる愛らしさです。
頭の部分にある小さな口へ、花やグリーンをひと枝。植物を添えることで、陶器の形や色の見え方も変わります。何も挿さずに飾っても、棚や窓辺で小さな物語が始まりそうな佇まいです。
手を動かす楽しさと、素材への好奇心から生まれるJohnの作品。飾る場所を考える時間も、ふと目が合う瞬間も、作品と親しくなるきっかけになります。

ぜひ、暮らしの中で少しずつ愛着が深まる、お気に入りを見つけてみてください。
